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取矢神社

ハヤシライスのルーツ!?大桑の山里深くに静かに佇む土岐氏ゆかりの神社。

名前の由来になった2つの伝承。ハヤシライスとの関わりも!?

様々な史跡や神社仏閣がある大桑地区。
その中でも最も山深い場所にあり、ひっそりと佇んでいるのが「取矢神社」です。

無骨な石灯籠の横に6台ほどの駐車スペースがあり、そのすぐ先に「桔梗紋」が刻まれた鳥居が現れます。
桔梗紋は美濃国守護・土岐氏の家紋であり、言い伝えによれば、大桑城主土岐頼芸公がこの神社を非常に崇敬していたといわれています。

鳥居をくぐっていくと静かで神聖な雰囲気が立ち込め、境内の脇には清らかな沢が流れているのを確認できます。
この「取矢神社」の名前の由来ですが、「矢」は水を差しており、その水を「取」りこむ意に由来していると伝わっています。
その名の通り、神社の奥からはこんこんと水が流れ出てきており、境内は常に心地のいい沢の音に包まれています。
長く日照りが続くと、ここで雨乞いの祈願がされていたともいわれています。

また、「取矢神社」の名前の由来にはもう一つの伝承があります。

土岐頼芸の家来の中に、弓矢の名手として名を馳せた早矢仕新助(はやししんすけ)なる侍がいました。
元は林という姓でしたが、そのあまりの射術の巧みさに、頼芸によって「早矢仕」の姓を賜りました。
その新助がこの地の森を散策していると、美しい鳥に出くわし、捕まえようと矢を放ちます。
すると驚いたことに、鳥はくちばしでその矢を受け取り、そのまま飛び去っていってしまいました。
新助は「あの鳥は神の遣いだ」と確信し、近くにあったお宮を新たに建て直して「取矢神社」と名付けたといわれています。

ちなみに山県市には今でも多くの早矢仕姓の人がおり、あの「ハヤシライス」を考案したといわれる丸善創業者・早矢仕有的はその新助の子孫にあたります。
そう考えると、この神社は「ハヤシライスのルーツ」の場所とも言えるかもしれませんね。

境内奥に流れる小さな2つの滝で、神聖な雰囲気に酔いしれよう。

苔むした境内を進んでいくと、やがて拝殿が現れます。
奥には本殿があり、その扉には見事な十二支が掘り込まれています。

その本殿の背後には「武士の滝」と呼ばれる滝が静かに流れています。
そのさらに奥まで上がっていくと、2体のお不動さんの石像の脇に「金鶏(きんけい)の滝」が流れています。
神社の北東にはかつて土岐氏の居城であった大桑城があった古城山があり、その古城山の別名が「金鶏山」であることからこの名になったといわれています。

武士といい、金鶏といい、このあたりにも土岐氏との関連性を感じますね。

※金鶏の滝にいくには足場が滑りやすく、道も不明瞭なため行かれる方は十分注意してください。


2021.05.13

INFORMATION

名称
取矢神社
所在地
岐阜県山県市大桑4719-2
駐車場
約6台
お問合せ
0581-22-6845
女性のイラスト
ここはまた独特の雰囲気があって、苔むした境内や沢のせせらぎの音に包まれているとほんとに心が洗われるんですよね。そして早矢仕新助の話を聞いた時は、確かにここには神聖な鳥が現れそうだなとも感じました。ハヤシライスもひたすらルーツをたどっていくと、この場所に行き着くってのがまた面白いですね。奥の滝は迫力こそありませんが、個人的にはその名前とは裏腹に、まろやかにスススっと流れる武士の滝が好きです。真下から見るより、少し登って横から滝を見て本殿方向を見る景色が好きですね。とても神聖な気分になれますよ。